●7月17日

◆小説…その11

さて、岡山に帰って自動車工場の生産ラインで働きだしたのですが、この頃の自動車業界は『行け行け!ドンドン!』っていうくらい景気が良かったので、高卒で途中入社の私でも12〜13万円くらいは手取りでありました。
で、私は考えたわけで(ここから、ちょっと愚痴っぽくなりますが、ご容赦を…<(_ _)>)『親はアテにならない』のが信条の私としては、結果。新聞屋に出してもらっていた学費を親に払わせた事が悔やまれる。
で、生活費として5万円を家に入れる。と言った。
単純計算でも2年もすれば生活費を差っ引いても使わせたお金は完済するはずだ。

で、ここから計算が狂ったのだけれども、私はあればあるだけ使っちゃう方だったので…。
例えば2万円しかなければ2万円のように、7万円あれば7万円すべてを使いきっちゃうような…。
私が通帳管理をしていてはお金は貯まらない。
と、思ったので母親に「5万円家に入れるから5万円は貯金して、残りが私のお小遣いでいいから」と言ってしまった。
生活費と貯金で10万円かかっても、まだ2〜3万円はあるから大丈夫。
と、思ったのが運のツキ…。

半年ほど経ってから母に「通帳を見せて」と言って見せてもらって愕然。
いつの間にか、私の通帳は借り入れができるように変更されており、しかもお金は貯まっているどころか『マイナスマーク』が付いている。
「どういう事よ!これって!!」と、母に言って激論になる(苦笑)
挙句に母親が言ったのが「ワシの金、お前の金言うとったら、人間汚くなる!おまえは守銭奴か!」って…。
いや、あなたが守銭奴でしょう…。とか思ったけどさ…。
思えば、この時に通帳を取り戻しておけば良かったんだよね。
ただ、お袋があまりにも無様に泣き叫んで理屈をこねるもんだから、そんな姿を見たくなかったから、自分の意見を引っ込めちゃった。
その後20年近く、お袋によって私のお金は好き勝手に運用され、私の東京進出の夢は砕け散ったのである。

あ〜、愚痴った、愚痴った。
小説に戻りま〜す。

そういった頃、ウルフガイシリーズでも名前の出た平井和正さん原作の『幻魔大戦』が劇場版のアニメとして製作される事になった。
監督は『りんたろう』さん、音楽は『キース・エマーソン』キャラクターは『大友克洋』
結構、豪華(^−^)
大友漫画は結構読んでいたしね。
『気分はもう戦争』とか『童夢』、『AKIRA』とか、もう夢中で読んでましたね〜。
『気分はもう戦争』は普通にマニアックで面白く、『童夢』に至っては、その緻密な画力に舌を巻き…。
なにしろ、そこまで描かなくってもいいじゃん。っていうほど細かくマンションの各フロアの配管とかメーターとか描き込んでいて、それが爆発してしまう様は「スゴイ」の一言に尽きます。

『幻魔大戦』の劇場版制作にあたって、大昔(私が小学校低学年の頃?)に連載されていた、石森(のちの石ノ森)章太郎が絵を描いていた『コミック版・幻魔大戦』も復刻版として出版され、これはもちろん買って実家の書棚の中にあります。
実は劇場版アニメになる前から平井さん自身で書いていた『小説・幻魔大戦』を私はもう読んでいたのだけれども、思い出しましたよ。
大昔のコミック版の幻魔大戦を私は読んでいました。
近所のお兄ちゃんの家に転がっている雑誌で漫画を読んでいたら、その中にあったんですね。

相当、強烈に印象に残っています。
ちょうどプリンセス・ルーナが超能力を一時的に失い、その隙にとばかりに虎憑きのドク・タイガーが地球エスパー軍団のリーダーとして名乗りを上げ、その強大な超能力故に主人公・東丈達も文句も言えずに従ってきたのですが、その余りにも身勝手な行動に丈が『キレて』ドク・タイガーに文句を言う。
その丈を「生意気な」とばかりに折檻するシ−ンが描かれていた回だったけれども、そのドク・タイガーの禍々しいまでの狂気と東丈を打ちすえる姿にゾッとしたのを憶えています。
「石森章太郎は天才である」と言わしめた一端ではないでしょうか?

結構、平井和正さんとは縁があるようで、私は本当に小さい頃に週刊誌(?)に掲載されていたコミック版の『ウルフガイ』の第1回も読んでましたね。
これも強烈な印象で、不良にからまれた犬神明がナイフでお腹を刺されるんですけど、その傷が見る間に治っていく。
このシーンだけはやたらと鮮明に憶えていますね。
そういえば、東京時代。
近所の書店に行ってみると、この『ウルフガイ』の愛蔵版・ハードカバー。上下2巻が売られていまして…。
買おうか、どうしようか?迷った挙句にその時の手持ちのお金で判断して、買わなかったんですね。
後で、メチャクチャ後悔しました…。
その挙句、結婚してからネットのオークションで見つけて結局は買っちゃった(笑)

劇場版の幻魔大戦の私のもう一つの楽しみは『爆発の金田』と異名をとる、アニメーターが戦闘シーンの作画に参加するらしい事を知ってから。
アニメファンとしてはそれだけでも観る価値がありました(私だけだったら、ごめんなさい)

ただ平井和正さん。
一点だけ気に入らない事があったみたいで…。
それは大友版の東丈がハンサムボーイじゃなかった事。
元々の設定では丈は二枚目なのである。
だけど、背が低い。それがコンプレックスとなって、丈の行動理念は形成されている。
だから人一倍の努力もして野球部のレギュラーを目指しもした。

けれど、結局丈の親友がレギュラーとなり、丈はレギュラーにはなれなかった。
なまじ顔がいいだけに、背が低いのを気にしていた丈は、それで相当なショック受けて落ち込む。
そんな時に、プリンセス・ルナと異星のサイボーグ戦士『ベガ』と出会い、自らの超能力に目覚める。
実際は強制的に目覚めさせられるんだけどね。
それまでのコンプレックスが強かった分、丈は増長する…。
という具合に話は進んでいくのだけれども、その為には丈は二枚目じゃなきゃいけない。
けど、大友の持ち味っていうのが結構普通顔だからしょうがない。
大友版の東丈はそこいら辺にいる普通の高校生となってしまった。
そりゃあ、原作者はいい気持ちはしないよね(苦笑)

続くvv

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